圧倒的な存在になるまでのロードマップ
創業から今に至るまで決して平坦な道のりではなかった。
特に黎明期の2年間は、自分でも驚くくらいの赤字だった。理由はいくつかあるが、一番は会員制ビジネスとはストック型のビジネスであること。売り切り型のフロー型ビジネスであれば短期間で一定の利益が出ただろう。しかし、継続的に収益を得るために先行投資を必要とするストック型ビジネスは黒字転換まで時間がかかる。法人と契約してもらうには、数多くの魅力的なサービスを仕入れ、多種多様なメニューを揃えなければならない。それらを会員に見てもらえるようカタログはもちろん様々な媒体を大量につくり、申し込みへの対応から提供まで莫大な費用をかけてシステム構築する必要もある。ある程度予想はしていたが途方もない赤字は、ときに非難されることもあった。
しかし、私には絶対的な自信があった。
それは、提供するサービスが最低価格になるからだ。皆さんは、どこで商品やサービスを買うだろうか?企業は、お客様に認知されやすいよう賃貸費が高い駅前の一等地に店を構えたり、テレビや新聞で広告を打つ。もちろんデジタルマーケティング全盛の今でも、ネットにアクセスすれば至るところで広告を見かけるが、これらの販促費は当然価格に転化されている。また流通はどうだろうか。手元に届くまでに一次、二次などの卸業界を経由し、販売価格が上がっていく。しかし、ベネフィット・ワンが創造したビジネスモデルでは、私たちが直接商品やサービスを仕入れ、会員も直接購入することができるため、浮いた販促費や無駄な流通費を抑えた価格になる。しかも私たちは会費で成り立つ事業のため、売買利益を取っていない。そのため商品やサービスを供給する企業は、安心して最低価格を提示できるわけだ。
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ベネフィット・ワンが、会員であるお客様とサービス供給者の両方から支持されることは自明の理。
そのことは創業2年目に大型案件を受注し、結果として現れた。その後、社内体制を見直して黒字転換すると、快進撃が始まった。2004年には総会員数100万人を突破し、JASDAQ証券取引所に上場。これに甘んじることなく、サービスインフラを有効活用した事業の多角化を推進し、インセンティブ事業やヘルスケア事業も開始した。あのリーマン・ショックも乗り越え、2010年には総会員数が500万人を突破し、グローバル化を推進。現在は総会員数1000万人を超えている。日本の総人口の約1/12が会員であり、サービスが付帯する家族まで入れれば1/4くらいのお客様網を築いている。しかし、ベネフィット・ワンが目指している「サービスの流通創造」のゴールは、日本のサービスインフラになること。今後、飲食、美容、教育、医療などあらゆるサービスの予約、購入はインターネット経由が当たり前になる。そしてサブスクリプション型のビジネスモデルで圧倒的なシェアを得ているベネフィット・ワンは、最も有利なポジションを築いている。しかし、それだけにとどまらず、あらゆる領域をカバーすることになるだろう。例えば、企業が人材を採用すれば様々な準備が必要になる。法人契約の私たちには、引越し、社宅などの賃貸不動産、それに付随する電気、ガス、水道、生命保険や携帯電話への新規加入などの必要な情報が一番に入り、すでにサービス供給を始めている。
近い将来、総会員数が5000万人を超え、家族を含めた日本人すべての会員とサービス供給者にとってなくてはならない存在になる未来が、私には見えている。